Rotary Engine の基礎知識
Last Updated on Nov.26,1996


ロータリーエンジンの主要パーツ

基本構成としては、まゆ型をし、内面がトロコイド曲線状になったローターハウジング、それを両面から押さえるサイドハウジング、その中に入るローター、動力を取り出すエキセントリックシャフトの4点から成り立っていると言っていい。
サイドハウジングは位置により、フロント、インターミディエイト、リアの3種類(2ローターの場合)が有る。

Rotary

Rorayサイドハウジング(リア)

エンジンブロックの最も後ろに
位置する。

Rorayローターハウジング

この中でローターが回転する。
点火プラグも取り付けられ、
排気ポートも設けられている。

Roray
サイドハウジング
(インターミディエイト)

2ローターの場合、
それぞれのローターの中間に
位置する。

Roray ローター

各辺の三表面が燃焼室の一辺を形成する。

Roray
エキセントリックシャフト

回転出力軸である。
ローター冷却用のオイル通路も
設けられている。


RX-01MSP-REでは排気ポート位置などが変更になっている。




ロータリーエンジンの燃焼工程

まゆ型のトロコイド曲線状になったハウジングの中を、おむすび状のローターが回転すると、ハウジングとローターに囲まれた部分の容積が変化する。ちょうどレシプロエンジンのピストン運動で得られるのと同じ様な容積変化が生じる。
もっとも空間が狭まり、混合気が圧縮された状態で着火すればその燃焼エネルギーがローターを押し、エキセントリックシャフトを回転させる。
Rotary
Rotary 上の図では便宜上ローターの1辺で吸気・圧縮・爆発・排気の工程を描いているが、実際は3辺のそれぞれが順次この工程を行っている。
ローターが1回転(3回燃焼)すると、エキセントリックシャフトは3回転する。
言い方を換えれば、エキセントリックシャフト1回転当たり、1回の燃焼が生じるわけである。

このように全て回転運動のみで、ローター自身が吸気ポート、あるいは排気ポートを開閉することにもなっており、バルブ機構すら無いためレシプロエンジンに比べれば、はるかに単純な構造であり、部品点数が少ない。しかも、往復運動する部分が無く、振動、騒音も少ない。 ローターの偏心運動に伴うバランスの不釣り合いは、ローター相互間の運動や、バランスウェイトによって打ち消される。


  • トルク変動について

    2ローターエンジンの場合、燃焼回数はエキセントリックシャフト1回転につき2回となるから、この点だけを見れば4サイクル直列4気筒レシプロ並であるが、前後ローター間における動作行程の重なりが長いため、出力トルクの変動はレシプロより小さくなるのである。
    2ローターロータリーエンジンのトルク変動は、4サイクル直列6気筒レシプロエンジンに近くなる。

    また、高回転域でのトルクの落ち込みが小さいのは自然吸気エンジンの場合、吸入はピストンの下降、またはローターの回転によって生じる負圧と大気圧の差によって行われるが、高回転になると吸入抵抗が増すうえ、発生した負圧を使用し切らないうちに吸入行程が終了してしまうため、吸入効率が急激に低下し高回転域でのトルクの落ち込みを生じさせる。
    しかし、ロータリーにおいては吸入弁が無く、吸気抵抗が小さいうえ、前述の様にローターはエキセントリックシャフトの3分の1の回転数で回るため吸入行程にかける時間が相対的に長く、十分な吸入を行える回転域はレシプロより高い。このため、フラットなトルクカーブを描き得るのである。


  • 単純な構造であるため調整個所が少なく、当然、故障の可能性も少なくなるが、個々の部品に課せられる品質要求はきわめて厳しい。
    また、ローターの頂点に位置するアペックスシールの摺動速度は、13Bエンジンの場合 25.7m/sec(6,000rpm時) にも達し、レシプロエンジンのピストンスピードの約2倍近くに当たる。
    これだけでも潤滑油膜の保持は難しくなり、更にローターハウジングの高温側にはプラグ穴と排気ポートが有り、ここでは必ず油膜が途切れる事になる。従って、レシプロエンジンに比較して、潤滑オイルに一層の気配りが必要で有る。

    最近では燃費も確かに良くなっては来ているが、相変わらず最大のウィークポイントでもある。またレシプロエンジンは複雑化と引換えではあるが、そのスペックを高めロータリーの相対的優位が出現当時に認められたほど、あるいは期待されたほどではなくなって来ている事も事実である。



    しかし、まるで電気モーターのごとく吹け上がる『ロータリーフィーリング』は、私には不思議な捨てがたい魅力である。
    完成してみれば、"有ってあたり前の物" になってしまうが、技術的に難しいロータリーの実用化には想像を超える生みの苦しみが有ったはずである。
    機械設計屋の端くれでもある Asmicがこのエンジンに引かれる理由の一つはそこに有るのかも知れない。
    こんな難しい技術を実用化させ、頑固に RX-7を進化させて来た MAZDA、ルマンに挑戦し続け、ついには優勝にまで育てた MAZDA, MAZDASPEEDに引かれるものがある。


    チューニング/ポート形状




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